「動物看護師であること」の意味を考える

ひとペトの西村です。最近、愛用している聴診器が壊れました。リム部分の劣化です。
でもさすがの標準規格♪リムとダイアグラムをお取り寄せし交換しましたら、今まで以上に良く聴こえるようになりました。

思えば…聴診器を初めて手にしたのは、私が約7年勤めた動物病院を辞め、人の看護学校に入った時でした。ってことは…20年選手。そりゃぁ…まぁ壊れますね。

動物看護師として勤務していた時は、自分の聴診器を持っていませんでした。というか「持つ」いう意識すらなく、麻酔管理の時に、獣医師先生の聴診器(リットマンでも高いやつ)を拝借するくらいでした。

看護学校に入学し実習に行くため、自分の聴診器を購入する機会が訪れました。
迷わず「リットマン」を選び、学生の身分で2万円以上の買い物は、周囲に驚かれました。
今思えば、一生の相棒となることを知っていましたので、悩むことがなかったのだと思います。
オレンジ色は、やめておけばよかったと…この歳になって思いますけどね(笑)

でも懲りずに、血圧計も新調しました。もちろんオレンジです!ある意味開き直りです。

看護学生の時、聴診器とともに、血圧計も必須購入でした。20年前ですからね…水銀計です💦
いまや血圧計も機械式でコンパクトになり、本当に簡易的に測れるようになりました。
でも看護師としてお年寄りの血圧を測定すると、ヒーローにでもなれたかのように喜ばれます。

透析室の看護師をしていた時も、水銀計は相棒でした。正確に血圧を把握できるので…
もちろん被災地にも持っていき「懐かしいね」と言って頂ける度に、恥ずかしいような嬉しいような気持ちでした。重いのだけが難点でしたので、今回新調です!
でもやはり自動血圧計ではなく、聴診器がないと測れないものにしました。
これは、私が看護師である「矜持」だと思っています。
そして聴診器を使い測定することは、同時に色々な情報をもらえます。
機械ではできないことです。
ペットたちは、腕を出してくれませんし、ぎゅうぎゅう圧をかけることもできませんので、動物看護師としては、血圧計は使いませんけどね(;’∀’)

人医療に来て、使える医療器具に違いがあることを知りました。
介護福祉士が行える医行為の中で、血圧測定は「自動血圧測定器を用いた血圧測定」となっています。
こうした違いを知った時、動物病院に勤務している時に聴診器を持つことがなかった意味を知った気がしました。

「動物看護」ってなんだと思いますか?
と…私は、動物看護過程の授業を開始する時に、聞くようにしています。

ひと医療では、医師と看護師の役割が、法律の中で明確になっているように、病院で勤務するコメディカルの役割もまた、それぞれの法律の中で示され、暗黙の了解の中で協働しています。
動物看護師も、国家資格となったからには、獣医師法や他の法律との関連性や冒してはならない領域、そして何を使命としているのか、その役割は何なのかを学び追及していかなくてはいけません。

しかしながら愛玩動物看護師法が施行され、実際に誕生したことで、SNSなどで他者を見下す発言や、向上心を持って学んでいる愛玩動物看護師に対して、マウンティングしている発言をみかけるようになりました。無意味だと感じています。

ここで思考して頂きたいのは、愛玩動物看護師とは?という原点と誰のための専門職か?ということです。

獣医療のための専門職でしょうか?違いますよね?
日本国土と日本国民、そして愛玩動物のための「動物看護」の専門職だと思うのですが、いかがでしょう。

私にとって「動物看護」とは?
獣医療の視点で、ひととペットの生活を看て支える専門職ですから、獣医療関連の他に、関連法規も、公衆衛生も、動物愛護や福祉ももちろん、産業動物に実験動物、展示動物に至るまで幅広く学ぶ必要があるのは、当たり前田のクラッカー(死語)だと思っています。

第2回目の愛玩動物看護師の国家試験が、難題だったとも言われていますが、国の資格ということと「動物看護師であること」の意味を、自分なりに見出しておけば、試験問題の見え方が変わってくるのではないかとも思っています。

しかしながら、私も動物病院に勤務し続けていたら、上記のような考え方を持つことは無かったかもしれません。
ひとの看護学校の門を叩き、看護師が行うフィジカルアセスメントを学び、看護師として情報を取る意味やアセスメントする際に求められる客観性の意味を知ったから!というのが大きいと感じています。

いろいろと脱線しましたが、自分たちが使う「道具」は、職人さんが使う道具となんら変わりないのだと思います。
聴診器だけでなく、ものさしや体重計も、立派な客観性をはかる道具ですし、じゃぁそこに動物看護師としての「矜持」を見出しているか?
そんなアホなことを妄想してみると、案外「自分にとっての動物看護」が見えてくるかもしれません。

そして自分の聴診器を購入したくなりましたか?
愛玩動物看護師ですからね!(笑)


ひとペトでは、動物看護師の災害支援を行う隊員「動物支援ナース」を募集しております。
詳細は、コチラをクリック
https://peatix.com/event/3858405/
申込〆切 2024年4月7日まで



タイトルとURLをコピーしました